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Story
おばーを喜ばせたい
起
「母さんの屋敷と畑はどうなってるかね?」
僕のひいおばあちゃんが亡くなって、ちょうど一年が経った頃、僕のおばあちゃんが僕にそう話しかけてきました。
その言葉が二~三日、僕の頭から離れずにずっと気がかりでした。
おばあちゃんは母を亡くし、今は誰も住んでない育った家がどうなっているのか、気にしている様子だったので、二人でおばあちゃんの実家へと向かいました。到着後、しばらくすると・・・、
「この屋敷と畑、このままではジャングルになってしまう。誰か・・、せめて屋敷だけでもいいから管理してくれないかな・・。」
「母さんが女手ひとつで三人の娘を育てながら汗水流して、やっと・・、やっと手にした屋敷と畑。母さんは天国で残念な気持ちで居るはず・・・・母さん申し訳ない。本当に申し訳ないです・・・母さん、ごめんなさい。」
湿気の匂いが染みた古い畳に座り窓越しの錆びた格子の奥の畑を眺めながら、古い湯呑みをぎゅっと抱きしめるように持ちゆっくりと、ゆっくりと黄金色したお茶を口にした後、湯呑みをひざの上にのせたまま、僕のおばあちゃんは、そっと独り言を口にしました。